Mister Lonely

Mister Lonely

誰もが普通を演じ、
普通が難しくなっていく

【“マイケル・ジャクソン”としてしか生きられない男“マイケル”(ディエゴ・ルナ)。ある日、老人ホームでパフォーマンスをすることになった彼は、会場で“マリリン・モンロー”(サマンサ・モートン)に遭遇。“マリリン”は意気投合した“マイケル”をものまねアーティストたちが集うスコットランドのコミューンへと誘う。】




ミスター・ロンリー。この映画が強く印象に残ってるのは、本筋のストーリーを引き立てる要素がとても素晴らしかったから。例えば空や木や海の映像は撮り手側がその風景や景色を愛しみながら撮っていることが伝わってくるし、物語の所々で静かに語られる現実への嘆きなんて痛々しいほど生身の言葉だ。誰もが普通を演じ、自らややこしくしていく。あいまいな結末が下手にまとめられるよりも、ずっと説得力がある気がした。