dolls

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失って
確かになる

【近松門左衛門の“冥途の飛脚”の出番を終えた忠兵衛と梅川の人形が静かに身体をやすめている。なにかを囁いているような二人のその視線の先――。松本と佐和子は結婚の約束を交わしていたが、社長令嬢との縁談が決まった松本が佐和子を捨てた。佐和子は自殺未遂の末、記憶喪失に陥る。挙式当日、そのことを知った松本は式場を抜け出し病院へと向かう…。年老いたヤクザの親分と、彼をひたすら待ち続けるひとりの女。事故で再起不能になった国民的アイドルと彼女を慕い続ける孤独な青年。少しずつ交錯しながら3つの究極の愛が展開していく…。】




Dolls。何かを失ったものたちと、繋がり続ける人びと。失うとは、無くすことばかりではない。失って、手に入る何かもあるのだと、この映画は語っているような気がする。赤い綱、赤い上着、赤い薔薇、赤い葉、赤い鮮血。物語のキーとなる激しく危険な匂いのする赤は、暗い闇の中でさえも鮮やかに色づいている。