crash

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落ちてきたのは
猫と桜と包丁と

猫が落ちてきた。
出窓から勢い良くベットに飛び降りてきた猫は、iPhoneのコードを足に引っかけ走り出した。枕元からテーブルの角に1バウンドし、床に落ちたiPhone。それは見事にフロントカメラ周辺からヒビが入っていた。月曜日だった。

桜が落ちてきた。
駅前の桜は地面にうすいピンクの水玉模様を作り出していた。もうそんな時期かと寂しさを感じながらも、この散っている桜が一番好きだなと思った。火曜日だった。

包丁が落ちてきた。
水きりに乗せた包丁が左手の小指めがけて落ちてきた。斜めにはいった切り傷からはいつまでも血が出続け軽いパニックに陥った。どくどくとする小指を心臓より高い位置に固定し泣きそうになっていると、ただならぬ雰囲気を感じてか猫がなぐさめに来てくれた。木曜日だった。

落下するなんとかいう小説が好きだったなと、好きだったのに思い出せないいい加減さを感じて眠った。毎日何かが落ちる。そして落ちるものによってそれぞれに違う感情をもたらす。変な一週間だった。