When the Wind Blows

kaze

無知の恐怖
静かなる怒り

【老夫婦のジムとヒルダは田舎町に引っ越し、のんびりと年金生活を送っていた。そんなある日、政府から3日以内に戦争開始の勧告があり、ジムは政府推奨のパンフレットを基に家のドアで家庭用核シェルターを作り始める。そしてラジオで3分後に敵国のミサイルがイギリスに到達するという放送が流れた後、町はものすごい爆風にさらされる。】




風が吹くとき。1987年日本公開ということは、私が生まれる2年ほど前ということになる。それなのに伝えたいことは今でも全く変わっていない。数十年前には日本もまだ戦争の渦中であったことなど、今の日本を見ても到底想像もできないのに。結局のところ、根本的な問題は何も解決してはいないのだ。

物語では淡々と、夫婦の行く末が映し出される。核への恐怖と怒りを強く台詞にぶつけることはしない。ただ静かに衰弱していく老夫婦を見せることの中には、心からの怒りを確かに感じ取ることが出来る。誰がなんと言おうと、戦争ほど愚かなものはない。