TONY TAKITANI

TONY TAKITANI

淡々と
しかし感情的に

【村上春樹の短編「トニー滝谷」を『つぐみ』『竜馬の妻とその夫と愛人』の市川準監督が映画化した作品。主演はイッセー尾形、宮沢りえ。第57回ロカルノ国際映画祭で、審査員特別賞、国際批評家連盟賞、ヤング審査員賞とトリプル受賞をはたした。美大で芸術を学んだトニー(イッセー尾形)は、デザイン会社へ就職、その後独立してイラストレーターになり、自宅のアトリエで仕事をこなすようになる。そんなトニーが一人の女性、出版社編集部員・小沼英子(宮沢りえ)に恋をする】




トニー滝谷。この空気感、整然とした音楽の旋律、そして男性の感情なく朗読する声、すべて好きだった。仕立ての良い映画、とでも表したらいいんだろう。全体を通してただよう焦燥感には美しさすら感じる。

孤独とは、人との繋がりを意識した瞬間から恐怖となり二度と無視することはできない。「孤独とは牢獄のようなものだ」の台詞そのものだった。良い映画を見た。見終わった瞬間、その感覚に包まれると思う。